混迷する時代に哲学が求められる
哲学は悲しき企画屋と揶揄されます。
諸学問を創る最高抽象レベルにあるのに、抽象的すぎて、具体に落としたもの、例えば、科学、心理学などに人気を奪われます。
だけど、それゆえに、この混迷深く、正解のない現代には、哲学に回帰して、哲学それそのものに関心が集まるのでしょう。
そのおかげ、別に大学の哲学科を受けなくても、日常に大いに活かせるレベルの書籍が増えてきました。
参考にしているものをこれからもいくつか紹介したいと思います。
そのうちの一つがこちらの本です。
これまでの本は、
●●の提唱する概念はこういうもの
という内容が多くありました。
それはそれで、有意義なのですが、幾つか学んでいくと、
あれ?これはAはこう言っていたけど、Bはこう言っている。
どちらが適切なのか?
と思うことがあります。
それに対して、この本は概念を中心にまとめ、
Aはこう言っている
Bはこう言っている
Cはこう言っている
と並べて、しかも図解的でわかりやすく伝えてくれます。
秀逸な構成です。
例えば、「学校」についてです。
ルソーは「学校」について、
「学校など必要悪、個性を阻害せず発達年齢に応じた知性を提供する環境であれ」
と言っている。
デューイは、
「社会に出るための教育をする場所」
と言っているし、
フーコーは、
「国家にとって望ましい、従順に学ぶ姿勢を習得させる監獄」
と言っている。
これだけでも、様々な観点から「学校」というものに対して、認識を深めることができそうです。
現実世界に対する認識の変化、それを促してくれる素晴らしい本だと思います。
おまけですが、コラムでついている「5分で学ぶ哲学史」素晴らしい。
わずか数ページで哲学の全体をざっくり把握できる素晴らしい本です。
混迷のおかげで、良い時代になりました。
その良さを享受できればと思います。
また、良い本を紹介したいと思います。